涼し (すずし)
【子季語】
朝涼 / 夜涼 / 夕涼
【解説】
夏の暑さの中で感じる涼気。朝夕の風、水辺や木陰などに得る涼しさをいう。
【例句】
朝は涼しい茗荷の子(種田山頭火)
柳があつて柳屋といふ涼しい風(種田山頭火)
死をまへに涼しい風(種田山頭火)
更けると涼しい月がビルの間から(種田山頭火)
けさは涼しいお粥をいただく(種田山頭火)
涼しさは下品下生の仏かな(高浜虚子)
自ら風の涼しき余生かな(高浜虚子)
風生と死の話して涼しさよ(高浜虚子)
稚児の手の墨ぞ涼しき松の寺(高浜虚子)
船涼し己が煙に包まれて(高浜虚子)
船涼し左右に迎ふる対馬壱岐(高浜虚子)
船揺れて瓶花傾く涼しさよ(高浜虚子)
崖ぞひの暗き小部屋が涼しくて(高浜虚子)
鯉の水涼しく動きどうしかな(高浜虚子)
石段を登り漁村の寺涼し(高浜虚子)
部屋涼し奏楽起り着席す(高浜虚子)
何事も人に従ひ老涼し(高浜虚子)
涼しさや熱き茶を飲み下したる(高浜虚子)
膝抱いて蘆のまろ屋の涼しさよ(高浜虚子)
女涼し窓に腰かけ落ちもせず(高浜虚子)
ふだん著に心涼しく神詣り(高浜虚子)
犬吠の涼しき月や君は亡し(高浜虚子)
涼しさや三年来ざりし山の荘(高浜虚子)
美人手を貸せばひかれて老涼し(高浜虚子)
山荘もこぼたずありし来れば涼し(高浜虚子)
顔せは汗にまみれてゐて涼し(高浜虚子)
金色の涼しき法の光かな(高浜虚子)
何事も神にまかせて只涼し(高浜虚子)
涼しくも生きながらへて紅つけて(高浜虚子)
廊涼し書院小書院繋ぎたる(高浜虚子)
涼しさや子規のことなど聞え上げ(高浜虚子)
老いてこゝに斯く在る不思議唯涼し(高浜虚子)
涼しく居思ひはろけくある身かな(高浜虚子)
寺の門はひらんとして風涼し(高浜虚子)
金色の涼しき薬かな(高浜虚子)
白波の一線となる時涼し(高浜虚子)
仮の世のひとまどろみや蝉涼し(高浜虚子)
影涼し皆濃紫さむらさき(高浜虚子)
涼しさに木丁をまくる腕かな(藤野古白)
闇涼し大師河原の石の音(藤野古白)
涼しさや濡るるもうれし柳影(藤野古白)
花をすてて心涼しや夏衣(藤野古白)
雨涼し傘すれすれの若楓(藤野古白)
月涼し僧も四条へ小買物(川端茅舎)
金銀の光涼しき薬かな(川端茅舎)
涼しさや母呂にかくるゝ後影(正岡子規)
涼しさを手と手に放つ別れ哉(正岡子規)
涼しさや客もあるじも眞裸(正岡子規)
波風や涼しき程に吹き申せ(正岡子規)
涼しさや風にさばける繩簾(正岡子規)
涼しさに海へなげこむ扇かな(正岡子規)
どこ見ても涼し神の灯佛の灯(正岡子規)
涼しさや兩手になでる雪の鬚(正岡子規)
涼しさや音に立ちよる水車(正岡子規)
涼しさや友よぶ蜑の磯づたひ(正岡子規)
涼しさや闇のかたなる瀧の音(正岡子規)
汗かゝぬ女の肌の涼しさよ(正岡子規)
涼しさや眞桑投こむ水の音(正岡子規)
涼しさに瓜ぬす人と話しけり(正岡子規)
涼しさや馬も海向く淡井阪(正岡子規)
涼しさや又川蝉の杭うつり(正岡子規)
大佛にはらわたのなき涼しさよ(正岡子規)
夜も更けぬ妻も寐入りぬ門涼し(正岡子規)
闇涼し川の向ふの笑ひ声(正岡子規)
涼しさや子をよぶ牛も川の中(正岡子規)
涼しさの猶ありがたき昔かな(正岡子規)
牛のせて涼しやよ淀の渡し舟(正岡子規)
涼しさや嶋から島へ橋づたひ(正岡子規)
涼しさや目高追はへる女の子(正岡子規)
涼しさや嶋かたぶきて松一つ(正岡子規)
寺に寐る身の尊とさよ涼しさよ(正岡子規)
立ちよれば木の下涼し道祖神(正岡子規)
窓あけて寐ざめ涼しや檐の雲(正岡子規)
涼しさや鷺も動かぬ杭の先(正岡子規)
涼しさのここを扇のかなめかな(正岡子規)
涼しさや羽生えさうな腋の下(正岡子規)
涼しくもがらすにとほる月夜哉(正岡子規)
涼しさや君とわれとの胸の中(正岡子規)
涼しさや川打ちわたす馬もなし(正岡子規)
網さげて涼しさうなる雫哉(正岡子規)
つり橋に乱れて涼し雨のあし(正岡子規)
涼しさや羽前をのぞく山の穴(正岡子規)
のぞく目に一千年の風涼し(正岡子規)
うつぶけに涼し河原の左大臣(正岡子規)
月涼し水干露をこぼすべう(正岡子規)
木下闇あらら涼しや恐ろしや(正岡子規)