時雨 (しぐれ)

【解説】
晩秋から初冬にかけて、晴れていた空から急に降り、すぐ止む通り雨。

【例句】
峠路や時雨晴れたり馬の声(尾崎放哉)
うち仰ぎ時雨るといひて船出かな(高浜虚子)
この人や時雨のみにて律する非(高浜虚子)
この庭の面てを起す時雨かな(高浜虚子)
この辺に時雨のあとの少しあり(高浜虚子)
これよりは二上時雨なつかしき(高浜虚子)
二三子や時雨るる心親しめり(高浜虚子)
似てゐても似てゐなくても時雨かな(高浜虚子)
噂過ぐ時雨のすぐる如くにも(高浜虚子)
大仏に到りつきたる時雨かな(高浜虚子)
天地の間にほろと時雨かな(高浜虚子)
子規墓参今年おくれし時雨かな(高浜虚子)
寺の傘茶店にありし時雨かな(高浜虚子)
廻廊を登るにつれて時雨冷え(高浜虚子)
御仏と相合傘の時雨かな(高浜虚子)
我心歩き高ぶる時雨かな(高浜虚子)
手拭にうち払ひつゝ夕時雨(高浜虚子)
昃りし障子四枚や時雨来し(高浜虚子)
時雨つゝ大原女言葉交しゆく(高浜虚子)
時雨るると娘手かざし父仰ぎ(高浜虚子)
時雨るゝとたゝずむ汝と我とかな(高浜虚子)
時雨るゝや四台静かに人力車(高浜虚子)
時雨るゝを仰げる人の眉目かな(高浜虚子)
時雨れつゝ何の疑ふ所もなく(高浜虚子)
来し人の我庭時雨見上げたる(高浜虚子)
泉石に魂入りし時雨かな(高浜虚子)
洛北の殊に大原の時雨かな(高浜虚子)
照り昃りはげしき時雨日和かな(高浜虚子)
父恋ふる我を包みて露時雨(高浜虚子)
石に腰即ち時雨れ来りけり(高浜虚子)
石庭に魂入りし時雨かな(高浜虚子)
石蕗咲いて時雨るゝ庭と覚えたり(高浜虚子)
船人は時雨見上げてやりすごし(高浜虚子)
雲なきに時雨を落す空が好き(高浜虚子)
鞄さげ時雨るゝ都と見かう見(高浜虚子)
酒買ひに韋駄天走り時雨沙弥(川端茅舎)
夕粥や時雨れし枝もうちくべて(川端茅舎)
時雨鳩わが肩に来て頬に触れ(川端茅舎)
時雨来と栴檀林にあそびをり(川端茅舎)
湯ぶねより一とくべたのむ時雨かな(川端茅舎)
涙ぐむ粥あつ/\や小夜時雨(川端茅舎)
鼠らもわが家の子よ小夜時雨(川端茅舎)
時雨るゝや又きこしめす般若湯(川端茅舎)
御僧や時雨るゝ腹に火薬めし(川端茅舎)
小夜時雨開山さまはおきて居し(川端茅舎)
時雨来と水無瀬の音を聴きにけり(川端茅舎)
かぐはしや時雨すぎたる歯朶の谷(川端茅舎)
鞘堂の中の御霊屋夕時雨(川端茅舎)
梅擬つら/\晴るゝ時雨かな(川端茅舎)
八つどきの助炭に日さす時雨かな(芝不器男)
大橋は時雨の中の小橋哉(藤野古白)
村時雨湖水の中の湖水哉(藤野古白)
江を横に露の松原や時雨あと(藤野古白)
から臼の厨に響く時雨かな(藤野古白)
青筋の殿を馬上に時雨けり(藤野古白)
鐘暗し姑蘇城外の夕時雨(藤野古白)
時雨たるあとさき長し瀬田の橋(藤野古白)
憂き人の傘さして行く時雨かな(藤野古白)
鷺の羽に夕日をかざす時雨かな(藤野古白)
横町の時雨出て来る屑屋かな(藤野古白)
時雨るや筧をつたふ山の雲(正岡子規)
淨林の釜にむかしを時雨けり(正岡子規)
新宿に荷馬ならぶや夕時雨(正岡子規)
色里や時雨きかぬも三年ごし(正岡子規)

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